胎児下部尿路閉塞に対する胎児膀胱鏡の早期安全性試験
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臨床研究の目的は?
重症の下部尿路閉塞(LUTO)では、羊水が少ないことで起こる肺低形成や、腎臓の圧迫による腎機能障害などが問題になります。
肺低形成や腎機能障害は胎児期から進行するため、出生後に最大限の治療を行っても亡くなってしまう場合や、長期的に透析などの治療が必要になる場合があります。
胎児膀胱鏡は、LUTOの原因を正確に診断することと、原因が後部尿道弁であった場合に弁を切開し肺低形成や腎機能障害を防ぐことを目標にしています。
本研究の目的は、この胎児診断・治療の日本における安全性と有効性を評価することです。
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臨床研究の対象基準は?
以下の選択基準をすべて満たしている妊婦さんと胎児です。
妊婦さんに対する選択基準
- 妊娠16週0日~25週6日
- 20歳以上45歳未満
- 肥満(BMI:35kg/m2以上)が無い
- 重篤な基礎疾患が無い
- 破水していない
- 子宮頸管長が25mm以上である
- 妊婦さんと配偶者の研究参加同意が得られている
胎児に対する選択基準
- 超音波断層法にて巨大膀胱を認め、重症LUTOと胎児診断されている単胎
- 超音波断層法で胎児の腎に嚢胞性変化が無い
- 当該疾患以外の重篤な胎児異常が無い
- 胎児膀胱穿刺による尿生化学検査で β-2ミクログロブリンが基準値(6.3~11.2mg/L)以下(基準値は13.45-0.493×(妊娠週数)+2.6×2の式より算出する)
- 胎児膀胱穿刺後に膀胱内に胎児尿の再貯留を認める
※膀胱鏡下治療の対象者
胎児鏡検査の所見により、後部尿道弁と診断された
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臨床研究での治療の流れは?
膀胱鏡に先立って、母体のお腹を通して細い針を胎児の膀胱に進めて尿を採取し、腎機能が保たれていることを確認します。膀胱鏡では、局所麻酔や脊椎麻酔を行った上で、超音波検査による確認を行いながら、母体のお腹を通して金属の管を胎児の膀胱内に挿入します。次に1.3-2.0mmの胎児鏡を管の中に入れ、後部尿道の観察と尿道への通水試験でLUTOの原因を診断します。原因が後部尿道弁であった場合は、レーザーで弁を切開し閉塞を解除します。
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研究期間および目標症例数は?
試験実施期間:2020年6月~2024年12月
目標症例数:10例
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臨床研究の実施施設は?
胎児治療の実施施設は国立成育医療研究センターおよび大阪母子医療センターです。研究対象となる可能性のある方をご紹介いただく際のフローチャートを以下に示します。
※研究協力施設は、胎児下部尿路閉塞の妊娠管理、分娩、児の治療が可能な施設とします。
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問い合わせ先は?
国立成育医療研究センター 胎児診療科 診療部長 和田 誠司(わだ せいじ)
Tel : 03-3416-0181 (代表)大阪母子医療センター 産科 主任部長 石井 桂介(いしい けいすけ)
Tel : 0725-56-1220 (代表)
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