脊髄髄膜瘤胎児手術の早期安全性試験
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臨床研究の目的は?
脊髄髄膜瘤では、髄膜瘤病変よりおしり側の脊髄が支配している神経が子宮内で損傷を受けます。その為、足、膀胱、直腸の神経機能が低下し、運動障害や排尿・排便に問題が生じます。近年の研究にて、お母さんのおなかの中にいる間(胎児期)に髄膜瘤閉鎖術(脊髄髄膜瘤胎児手術)を行うと、生まれた後の髄膜炎を予防できる以外にも、足の神経の機能が良くなること、一人で動ける可能性が高くなること、水頭症(側脳室という脳の一部に水がたまる)が改善しその後脳室腹腔ドレナージ術をしなくてもよい可能性が高まることが分かってきました。この脊髄髄膜瘤胎児手術は、まだ日本ではまだ行われていません。しかし、お子様の神経機能と生活の質を改善させる可能性があり、日本での普及が期待されています。
本研究は、海外で行われている脊髄髄膜瘤胎児手術を、日本で安全に行えることを評価することを目的にしています。
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臨床研究の対象基準は?
この研究は、以下の条件を満たす方を対象としています。なお、担当医師の判断によっては参加できないこともあります。
胎児
参加条件
- 胎児診断された胸椎1-仙椎1レベルの脊髄髄膜瘤もしくは脊髄披裂の胎児
- 後脳ヘルニア合併症がある胎児
- 手術日が妊娠19週0日から25週6日の胎児
- 単胎の胎児
参加していただけない条件
- 脊髄髄膜瘤に関連しない重篤な先天性奇形合併がある胎児
- 脊椎後弯30度以上の胎児
- 多胎である胎児
母体
参加条件
- 同意取得時の年齢が20歳以上の方
- 本研究の目的及び内容を説明し、同意文書に署名をいただいた方
参加していただけない条件
- 子宮頸管長<20㎜
- 早産既往(<37週)
- 子宮頸管無力症
- 常位胎盤早期剥離の既往
- 前置胎盤
- 肥満(BMI>35)
- 妊娠前からのインスリン治療を要する糖尿病
- Rh血液型不適合
- 母体HIVウイルス陽性、B型肝炎ウイルスHBe抗原陽性、C型肝炎ウイルス抗体陽性
- 子宮奇形
- 既往子宮手術(帝王切開も含む)
- 社会的サポートが得られない
- 精神的疾患を有する
- その他、研究責任者、研究分担者が本研究の対象として不適当と判断した場合
その他、研究に参加するためにはいくつかの基準があります。また、研究参加に同意された後でも、その基準にあてはまるかどうかの事前の検査の結果によっては参加いただけない場合もあります。
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臨床研究での治療の流れは?
以下の方法で脊髄髄膜瘤胎児手術を行います。
- 母親に硬膜外麻酔・全身麻酔をかけます。
- 母親の下腹部に10㎝程度の皮膚・皮下切開をおき、子宮を露出させます。
- 超音波装置を用いて、胎児・胎盤の位置を確認します。
- 胎盤から十分離れた位置で子宮を5㎝程度切開します。
- 胎児の背中にある脊髄髄膜瘤の閉鎖術を行います。
- 子宮壁、腹壁を閉じて手術終了です。
- 手術後は、安静や子宮抑制剤を使用しながら子宮抑制を防いで、可能な限り長期に妊娠継続できるように管理します。入院期間は約30日程度で、その後は外来で経過観察を行いますが、状況に応じて変更する場合もあります。妊娠37週以降で帝王切開による出産が目標です。
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研究期間および目標症例数は?
試験実施期間:2020年4月~2025年3月
目標症例数: 15例
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臨床研究の実施施設は?
胎児治療の実施施設は大阪大学医学部附属病院と国立成育医療研究センターです。
大阪大学医学部附属病院・国立成育医療研究センターへご紹介いただいた場合、まず選択基準・除外基準に照らし合わせて、胎児手術の対象者になるかどうかの判断をさせていただきます。研究対象者となった場合の、その後の流れを下図に示します。
研究の流れ
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問い合わせ先は?
大阪大学大学院医学系研究科 産科婦人科学 兼任教授
遠藤 誠之 (えんどう まさゆき)
Tel: 06-6879-3351(代表)国立成育医療研究センター 周産期・母性診療センター 胎児診療科部長
和田 誠司 (わだ せいじ)
Tel: 03-3416-0181(代表)
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